いのちことほぐ
いのちことほぐ
江連泰知作
登場人物
松平編
松平[ 松]・・元教授の老人。死への恐怖から脳移植を企む。
鳥山[ 鳥]・・・脳移植手術の斡旋業者。他二編にも出演
光[ 光] ・・松平の孫で、肉体のドナー。
之江[ 江] ・・松平の息子の妻、光の母。
小田編
小田[ 小]・・小田繊維(有)の会長。不死への憧れから脳移植を企む。
三紀[ 三]・・小田の孫で、肉体のドナー。
巌流島編
宮本[ 宮]・・漫才コンビ「巌流島」のボケ。
佐々木[ 佐] ・・漫才コンビ「巌流島」のツッコミ。宮本を失うことへの恐怖から彼に脳移植を受けさせようとする。
柳生[ 柳] ・・巌流島にあこがれ、弟子入りを志願する若者。
光編
光[ヒ]・・大人になった光。

本文
松平編1

予め書斎セットを組んでおく。上手サスFI 。上手から能面をつけ、扇を手に持った松平が『敦盛』を謡いつつ入ってくる。タイミングとしては、松平の声をキューに照明がつく。

松 人間五十年、化天のうちを比ぶれば、夢幻の如くなり

下手サスFI 。同様に下手から光が入ってくる。

光 人間五十年、化天のうちを比ぶれば、夢幻の如くなり
松 一度生を享け、滅せぬもののあるべきか
光 一度生を享け、滅せぬもののあるべきか

地明かり、上下サスCF 。松平と光が中央サスに歩いていく。

松 これを菩提の種と思ひ定めざらんは、口惜しかりき次第ぞ
光 これを菩提の種と思ひ定めざらんは、口惜しかりき次第ぞ

鼓SE 。地明かりCI 。面を取り、扇を机に置く二人。

光 おじいちゃん、今のなんていう歌?
松 『敦盛』だ。それと、歌ではない。
光 じゃあ何?
松 そうさな、お芝居といえばいいのか?
光 僕お芝居好きー!
松 ふん、そうか。
光 えっと、えっと・・・(何かを思い出そうとする仕草)

ドアノックSE 。

松 なんだ?

之江、扉から入ってくる。

江 お義父さん、お客様です。
松 客だと?
江 はい、確かお名前は・・・
鳥 はいはいー、失礼しますよー!
江 ちょっと!

鳥山、之江を押しのけて扉から入ってくる。

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