エヴリシング・バット・ザ・ガール
~世界の終わりと演劇部~
『エヴリシング・バット・ザ・ガール~世界の終わりと演劇部~』
作 渡辺キョウスケ
《登場人物》
・大王・・・演劇部部員(一年)
・アイ・・・演劇部部員(二年)
・エリ・・・演劇部部長(三年)
・ハナ・・・演劇部副部長(三年)
・ユキコ・・・中学生(三年)
《舞台》
関東某県・某市立高校の社会科準備室(校舎3階)。
この部屋は、演劇部の部室、兼、稽古場に使用されている。
上手の奥に出入口。下手には窓があり、外には校庭が望める。
正面奥中央には黒板と平台。
その脇に置かれた本棚には、部の過去公演の台本ファイルの他、著名な劇作家の戯曲本や「The Staff」のようなノウハウ本が収められており、側面には過去公演のポスターが貼られている。
その他、机や椅子が数脚、部屋の隅にまとめて置いてある。
この劇は、1999年9月某日、この高校で文化祭が開催されている最中の、この一室での出来事を描いたものである。
********************
誰もいない準備室。
部屋の外からは、文化祭らしく、校内放送で放送部が流す賑やかな音楽(1999年当時のヒット曲、例えばモーニング娘。「LOVEマシーン」、浜崎あゆみ「Boys&Girls」、鈴木あみ「BE TOGETHER」等)や、生徒たちが楽しそうに騒ぐ声がうっすらと聞こえる。
黒板にスライドで文字が投影される。
『1999年 9月某日』
『関東某県 某市立高等学校』
『文化祭当日』
出入口のドアをノックする音。
スライド、消える。
声「失礼しまーす・・・」
セーラー服姿のユキコ、おそるおそる入ってくる。
ユキコ、部屋を見回し、誰もいないことに気付く。
部屋を散策し始めると、本棚が目に留まる。
ファイルを一冊手に取り、パラパラとページをめくる。
と、突如、ピシャッ!と出入口のドアが開く。
ユキコ「!?」
ブレザーの制服に、背中にはマント、そしてデーモン小暮閣下のようなメイクの大王が入ってくる。
手にはタコ焼きの入ったプラ容器。
ユキコ「(その姿を見て)・・・ええ?」
大王「・・・誰だ貴様」
ユキコ「へ?」
大王「貴様は誰かと聞いている!」
ユキコ「え、あ、私は、あの、その」
大王「(ユキコが手に持つファイルを指し)おい、それ」
ユキコ「あ!すみません!勝手に読んでしまって(慌てて棚に戻す)」
大王「貴様、さては賊の者だな?」
ユキコ「賊?いや、賊では」
大王「誤魔化そうとしても無駄だ。この文化祭の騒乱に乗じて、盗みを働こうという魂胆であろう。この大王には全てお見通しだ!」
1/22
面白いと思ったら、続きは全文ダウンロードで!
御利用機種
Windows
Macintosh
E-mail
E-mail送付希望の方は、アドレス御記入ください。