喫茶 夢幻亭
「喫茶 夢幻亭」 嵩祢茅英

□備考
 この脚本は声劇用の台本を書き換えたものです。
 不明点などありましたらXのDMからご連絡くださるようお願いします。
 @chie_kasane

□人物
 マスター(見た目70~80) 壮年の男性。人間ではない。
               喫茶 夢幻亭のマスター。
 桜木千絵(35)社会人。
 村田晃樹(43)社会人。
 山本美樹(26)アパレル。
 女(25)美樹の友人。アパレル。
 男(24)新卒の社会人。システムエンジニア。

□あらすじ
 喫茶 夢幻亭は、困り事・悩み事を抱えた人間が夢の中に見る場所である。
 一人目の来客は母の死に対して。
 二人目の来客は父の死に対して。
 三人目の来客は職場の上司に対して。
 「話すこと」で悩みに対する解決策を見つける客とマスターの話。



〇灯りの点いていない喫茶 夢幻亭・店内
   カウンターごしにスポットライトを浴びるマスター(見た目60~80)。
マスター「夢とは、睡眠中に脳が、過去に見聞きした情報を整理し、記憶の倉庫から引き出したり、まとめたりする作業を行っていて、その過程を脳内で再生している状態だと言われています
えぇ、これは間違いではありません
ですが、夢の中で自分の思いを吐き出す事で、夢から醒めた時に気持ちの整理がつく、なんて事もあるのですよ
ここは喫茶 夢幻亭(むげんてい)
悩みを持った方が訪れ、思い思いに話をしていく。…現実では語れない事もね
さぁ、今宵はどのようなお客様がいらっしゃるのでしょうか…」
   スポットライト消える。

〇喫茶 夢幻亭・店内
   アンティーク調のクラシカルな店内。
   カウンターの奥で作業をするマスター。
   店内の入口を入った場所に立っている桜木千絵(35)。
   カウンターに座っている村田晃樹(43)。
   ボックス席に座っている山本美樹(26)と女(25)。
   その隣に男(24)が座っている。
千絵N「桜木千絵の場合」
千絵「…あれ、私、なんで喫茶店になんかいるんだろう…」
マスター「お客様、カウンターへどうぞ」
千絵「あっ、はい。ありがとうございます…」
マスター「ご注文がお決まりになりましたら、お声を掛けてください」
千絵「あっ、はい。えぇっと…うーん…(メニューを見ている)。あっ、すみません」
マスター「はい」
千絵「カフェラテ、ホットでお願いします」
マスター「かしこまりました」
千絵「ええっと…何をするんだったっけ……あ、そうだ、今日は半休を取ってこれから家に帰る所…だったような…」
マスター「お待たせ致しました。カフェラテでございます」
千絵「あっ、ありがとうございます! ふー、ふー、ごくり。ん! 美味しい!」
マスター「ふふっ、そう言って頂けて光栄です」
千絵「こんな喫茶店があっただなんて、初めて知りました。いつもはチェーン店に行ってばかりで…」
マスター「そうでしたか」
千絵「喫茶店もいいですね。特にこのお店、なんだか落ち着きます」
マスター「それはそれは、ありがとうございます」
千絵「アンティークな雰囲気ですけど、いつからやっているんですか?」
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