運命の赤い糸切鋏
「運命の赤い糸切鋏」
林佑輝也
〇 登場人物
緋音ユイ 高校三年生
緋音ウタタ ユイの母親
山吹ミチカ 高校三年生
葵リョウ 高校三年生
エス(緋音タツ) 高校三年生(ユイの息子)
UFOちゃん 高校三年生
先生 ユイ、ミチカ、葵の担任教師
ナンパ師

本作品では役者が自ら心情を想像し、自然に演じてもらうために敢えて感嘆符「!」の使用を控えめにしています。自由に発想し演じてみてください。
舞台装置は白ボックスを用います。
キャストの衣装の色は基本的に白と黒です。


○ ユーサイキア
荘厳なBGM。
中央で眠っているユイ。
ユイ「私のママはどこ。どこにいるの、ママ。」
歩いてくるエス。中央にユイを発見し、表情から憎しみをあらわにする。
ユイとエスは赤い糸でつながっている。
オープニングのムービング。

○ 高校・教室
5限の授業中。この日最後の授業。テスト返却。
教卓に先生がいる。教室にはユイ、ミチカ、葵、その他の生徒が座っている。
先生「山吹ミチカ。」
ミチカ「はーい。」
ミチカが先生からテスト用紙を受け取る。
先生「また赤点か。今日は補講だな。」
ミチカ「えーー。今度こそはいったと思ったのにー。」
ミチカが席に戻る。
先生「放課後2階の教室で待ってなさい。ええ、次は緋音か。緋音ユイ。」
ユイ「はい。」
先生「まあいつも通り、優秀だな。」
ユイは先生からテスト用紙を受け取る。
ユイ「ありがとうございます。」
ユイが席に戻る。
以降先生は他の生徒にテスト返しをする。
ミチカ「見せて見せて。」
ユイ「ちょっと。」
ミチカがユイのテスト用紙を奪い取る。
ミチカ「もう。なんでこんないっつも点数高いわけ?もー萎えた萎えた。」
ユイ「ミチカ一体何点だったの?」
ミチカがユイにテスト用紙を突き付ける。
ユイ「うわあ。これまたすごいやらかしたね。テスト中ずっと寝てたの?」
ミチカ「違うよ。今回は起きてたって。」
ユイ「え。じゃあなんでこうなったの?」
ミチカ「んー。あ、そうだ。LINEで別れ話してたわ。」
ユイ「また?そんな堂々とスマホいじっちゃって」
ミチカ「またって、テスト中にしたのは初めてだよ。」
ユイ「いやそうじゃなくて。高校入ってから何人目?すごいねほんと。」
ミチカ立ち上がって伸びをする。
ミチカ「はああ。いいなあ天才緋音ユイさまは。世の中不公平だわ、脳みそちょっとくらい分けてほしい。」
ユイ「そんないいもんじゃないけどね。」
ミチカ「そうなの?」
ユイ「それに、ミチカには悪いけどちっとも良い点数じゃないよ、これ。これじゃ多分クラス一位じゃないし、どうせ家帰ったらまた小言言われるんだよ。」
ミチカ「ふーん。大変なんだねあんたも。」
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