卵甘味審判
卵甘味尋問

四坊(36):「四坊(しぼう)」律と守の上司。嫁と4歳になる可愛い娘がいる。冷徹に見えるが、感情の振り幅が極端に狭いだけである
律(26):本名「京殿 律(きょうどの りつ)」 可愛い年下の彼女がいる、不幸で守に振り回されている、哀れな二枚目
守(26):本名「獅子戸 守(ししど まもる)」 学生時代から律と一緒に活動することが多く、彼の相棒を名乗るトラブルメーカー

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 それはとある平日の昼時。冷蔵庫前でのやりとりなのであった。
 自分の部下達がじゃれ合っているな、と思った直後ーー
 とある「尋問」が始まろうとしていた。
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○ 会議室(昼)
    四坊が会議室の前を通りかかる。
    会議室には備え付けの冷蔵庫があり、その前で、守が冷蔵庫の扉を開けている律に絡んでいる。
    冷蔵庫の扉には「自分の名前を明記する事」「弁当の誤発注に注意」といった旨の張り紙がしてある。
    それを、会議室の入り口からのぞき込んでいる四坊。

守「ねー、りーつくーん! あーそびーましょ!」
律「断る」
守「断るなよ! 冷たくなーい?」
律「冷たくない」
守「いや、なんか怒ってるじゃん、お前。この俺に言ってみなさい、長年の相棒なんだから」
律「長年に渡る『腐れ縁』の間違いだろーが」
守「まーまー、待ってくれよ。この俺が何でお前が、しずかーに怒っているのか推理してあげよう」

    呆れたようにため息をつき、冷蔵庫を閉める律。
    顎に手を当て、わざとらしく声を出しながら考え込む仕草の守。
    何となく嫌な予感がした四坊はこっそりと部屋に入る。二人は気づいてない。

守「うーむ、この律君のキレ方は…きっと、俺に対しての怒りがあるな?! どうだ!」
律「ほう?」
守「何が悲しいって、原因が俺かもって所かな。どう?」
律「獅子戸 守君」
守「うわ、そのお前の言い方は、原因がやっぱり俺か…はい、何でしょうか」
律「思い当たる節があるなら、正座しろ」
守「…はい。なんかしちゃったんだろうなぁ、俺」

    その場に正座をする守と、仁王立ちで見下す律。
    その様子を見て四坊は二人に近寄り、介入をする。

四坊「待て待て待て」
律「あ、お疲れさまです」
守「お疲れさまっす〜」
四坊「なんでこの状況で、そんな通常運転が出来るんだ」
律「いつものことですし」
四坊「あのな、部下がその同僚を正座させてるのは、おかしい状況なんだが」
律「駄目ですか? 何なら、ここからが本番ですが」
四坊「…お前は職場で、何をしようとしてるんだ」
律「尋問ですね」
四坊「尋問」
律「何なら、公正に第三者の目を介入させたいので、四坊さんに見届けて欲しいくらいですが」
四坊「お前は何を言っているんだ?」
律「大丈夫です。多分、手は出ないはずですが、少し不安なのでいてもらった方が嬉しいです」
四坊「…ここは上司として、お前を止めるのが正常なんだろうが」
律「はい」
四坊「(溜息)その様子だと、止まりそうにないな。やるなら…手は出さないこと。何かあったらストップをかけるので、確実に行動を止めること。この二点が守れるなら許可しよう」
律「承知しました」

    近くから椅子を持ってきて、守を挟むようにして律の反対側に腰掛ける四坊。
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