夏休みを消せば救われるはずだった
夏休みを消せば救われるはずだった

登場人物
コウイチ・・・主人公
ミキ・・・同級生女子1
アイ・・・AI
エリカ・・・同級生女子2
アサヒ・・・同級生男子
マサ・・・喫茶店店主
リョウコ・・・同級生女子3



       放課後の教室、クラスメイトが帰宅していく中、
       ミキは親友リョウコとじゃれ合いながら
       笑い声を残して教室を出て行く。
       一人残されたコウイチは、周りのざわめきを遮るように耳を塞ぎ、
       彼女たちの後ろ姿を見る。
       彼の前には開かれたノートと教科書、手にはスマートフォンがある。
       コウイチがスマホに向かって文字を打ち込んでいる。

コウイチ アイ、夏休みまではあと何日だ?

       彼の横にはAIのアイが立っておりスマホ画面を見て反応する。

アイ   およそ3週間と2日後です

       コウイチはスマホ画面を閉じ、無心でノートに何かを書き始める。
       その間教室のドアが静かに開き、
       忘れ物を取りに来たミキがコウイチの後ろから忍び寄る。
       ミキは気づかれないようコウイチのノートをスマホで撮影する。

ミキ   夏休みを消す計画の準備って何?
コウイチ あっ!? な、な、何でも……ない
ミキ   テスト用紙を盗んで、内容をクラスにリークした後、
     先生にばらすって書いてあるね
ミキ   先生に報告してもいい?
コウイチ ――まっ待って……それは、その……
ミキ   バレたくない?

       コウイチは必死に頷く。

ミキ   つまり見逃してほしいわけだ

       コウイチがさらに激しく頷く。

ミキ   うーんどうしようかなぁ……でもさ『夏休みを消す計画』って何で?
     夏休みいらないの?
コウイチ ……いらない。必要ない
ミキ   君……この前の中間テストでオール満点だったよね?
     先生に表彰されてた
コウイチ 学生は勉強だけしてればいい
ミキ   ふーん。それを私たち全員に強要しようとしてるんだ
コウイチ それは……
アイ   コウイチさんピンチです。緊急回避プロトコル起動!

       突然、コウイチの端末から爆発音が鳴り響く。

ミキ   え?何?

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