なまえをよんだら
「なまえをよんだら」 作:廣川潤季 miyako.nono@gmail.com

キャスト
◎まる(A)
◎えだまめ(B)
◎ブランカ
◎バロン
◎さくら
◎モカ
◎ルナ
◎虎吉
◎イーブイ

    以上、猫たち。
    人間のセリフはすべて袖からか影ナレで発するものとする




        開幕。
        AがIN

    「あ、猫だ!」

        猫を呼ぶ多数の録音の声。Aは猫を呼ぶ人を追いかける。

A    「吾輩は猫である! 名前は……!」

        暗転。
        椅子を5脚、バラバラの位置・むきにセッティング。
        照明全灯。Aが小さくうずくまっている。ブランカIN。
    (※以降照明は、学生「ただいま~」までにかけて、ゆっくりと70%まで落としていく)

ブランカ  「あれ、知らない子がいる。こんにちは、私はブランカ。君は?」
A    「……」
ブランカ  「な~んて、いきなり話しかけられてもびっくりしちゃうよね」

        さくらIN。虎吉は少し遅れて、袖から半身だけ出す。

さくら   「ブランカさん。ごきげんよう」
ブランカ  「さくら、やっほ~。それに虎吉も」
さくら   「あら?」
虎吉   「ああああ……やあ、さくら」
さくら   「ごきげんよう。ブランカさん、この方は?」
ブランカ  「初めましてさんだよ! 誰かの知り合いかな?」
さくら   「どうでしょう……ごきげんよう。私はさくらと申します。あなたは?」
A    「……」
ブランカ  「恥ずかしがり屋さんなのかな?」
虎吉   「名乗ってくれてもよくない?」
さくら   「あなたも名乗っていませんわよ」
虎吉   「僕は虎吉! あんたは誰だ?」
A    「僕は……猫だよ」
虎吉   「わかってるよ。バカにしてるのか?」
ブランカ  「虎吉。どうしてそういうこと言うの」
さくら   「あなたもしかして、お名前をお持ちでないのですか?」
A    「……」
ブランカ  「そっか、それで何も言えなかったんだね。ごめんね」
さくら   「ご主人様のいらっしゃらない旅の猫さんでしょうか」

        会話中にモカ・ルナ・イーブイIN。
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