夜に踊るアネモネ
夜に踊るアネモネ
槻市 灯代
[登場人物]
●秋本 アイ（アキモトアイ）……舞台「さざなみ」オーディション合格を目指す女の子。
秋本七瀬を愛している。
●秋本七瀬（アキモトナナセ）……アイの姉。役者を目指している。念願の出演を果たした舞台
の自主練習中、大けがを負い植物状態になる。
●朝日 モモカ（アサヒ モモカ）……強気だが傷つきやすい女性。藤袴と同棲しているが、DV
を受けている。
●藤袴 ソウゲン（フジバカマ ソウゲン）……桃花と同棲している。相貌に似合わず保育園の先
生。親たちからの圧力に怯え、出勤できていない。
●三瀬早 シノブ（ミセバヤ シノブ）……喫茶店のマスター。妻と離婚し、一人で喫茶店を守っ
ている。
●金雀枝 アタリ（エニシダ アタリ）……ОＬ。自分を殺し、会社に勤めている。
●コーチ……秋本姉妹が通っていた演劇クラブのコーチをしている。昔は役者を目指していたが、
今は子供たちの夢を応援している。
●記者 ……秋本七瀬に関して調べている記者。好奇心旺盛、面白い事には顔を突っ込むタイプ。
【１場 戻らない時間】
舞台は、素舞台に、中心に四角の白い台のようなものがある。
上から見ると「回」のような形。
その白い台と台の下で空間が分かれており、その切り替えで様々な演出を行う。
時間軸は「今」「過去」「過去過去」の三つに区切られている。
「今」は記者が人々にインタビューをしている時間軸、
「過去」は、秋本七瀬（実際はアイ）が人々に会いに行く時間軸、
「過去過去」は、秋本七瀬が植物状態になるまでの時間軸である。
「過去」の中での秋本七瀬は、秋本アイが演じている偽物であり、
実際に役者も秋本アイ役を演じる役者が演じる。
この「過去の中で秋本七瀬を演じるアイ」を、脚本上では「秋本七瀬」と明記する。
★過去過去★
秋本家。
秋本七瀬が寂しそうに座り、鼻歌を歌っている。
七瀬 ～♪（鼻歌）
アイが登場。
アイ お姉ちゃん！
七瀬 ～♪（鼻歌）
アイ 何歌ってるの？
七瀬 ～♪（鼻歌）
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