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幽霊の乗車率！

舞台はタクシーの車内。舞台上にはボックスが５つあり、手前に少し間隔を空けて２つ、後ろにくっつけた状態のボックスを３つ置き座席に見立ててある。運転手が板付きで手前の下手側のボックスに座っている。運転手はワイヤレスイヤホンをつけている。暫くして１人の客が乗ってくる

運転手　どうぞー
客　　　阿佐ヶ谷けやき公園までお願いします
運転手　かしこまりましたー

暫く無言が続く

運転手　今日も暑かったですねー
客　　　そうですね
運転手　お仕事帰りですか？
客　　　はい
運転手　お疲れ様でした。お客さん、体調とかっていかがです？
客　　　体調ですか？そうですね・・ちょっと身体がダルいです。暑さにやられたみたいで
運転手　そうですか

暫く無言

運転手　いやーしかし暑かったですね
客　　　そ、そうですね
運転手　こんな日はキンキンに冷えたビールをグッとやるに限りますね
客　　　そう・・なんですかね。すみません、自分はお酒が飲めないもので
運転手　それはもったいない。私なんて出勤前に軽く一杯やって来ちゃいましたよ
客　　　止めろ止めろ止めろ
運転手　はい？(車を停止させる)どうしました？
客　　　どうしましたじゃないですよ。えっ、お酒飲んでるんですか？
運転手　冗談に決まってるじゃありませんか。小粋なジョークです
客　　　冗談に聞こえませんでしたよ
運転手　失礼しました、本当に飲んでませんよ。出発してもよろしいですか？
客　　　はい

運転手、再び運転を始める。暫く無言の時間が続く

運転手　いやーしかし暑かったですねー
客　　　は、はい
運転手　夏と言えば怪談話ですよね
客　　　まぁ
運転手　タクシーの運転手やってるとですね、結構聞くんですよー怪奇現象の話
客　　　あー確かにタクシーの運転手の方って心霊現象に逢いやすいってどこかで聞きましたね
運転手　そうなんですよ。季節を問わず色んな人から伺いますね
客　　　そう・・なんですね。自分はそういうの苦手なもので、絶対に遭遇したくありませんね
運転手　まぁでも結構幽霊ってやつはこの世に沢山いるみたいですからね
客　　　い、嫌だなぁ、あはは。実はこの車内にもいたりして！なーんて
運転手　・・・
客　　　えっ、いやいや、あはは！冗談ですよ！痛てて・・何だかこんな話をしていたからか肩が張ってきた気がしましたよ(首を回すと天井にお札があることに気がつく)・・えっ？・・運転手さん、この天井に張ってあるお札は
運転手　あっお客さん(上手を指差し)UFOが飛んでますよ
客　　　露骨に話し逸らしてません！？
運転手　そんなことないですよ！お札？全く誰ですかねそんなイタズラしたのは！許せませんよ全く。(大声で)許せませんよ！
客　　　ビックリしたぁ！急に大声出さないでくださいよ
運転手　失礼しました。お客さん、音楽でも聞きますか？
客　　　音楽？
運転手　静かなのも退屈かと
客　　　別にそんなことは。むしろこのお札の話を聞きた
運転手　私、学生の頃ジャズにハマってましてね。きっとお客さんも気に入りますよ
客　　　いやそれよりお札の
運転手　適当にプレイリストを流しますね
客　　　全然話し聞いてくれない
運転手　アレンザ、ジャズをかけて
音声　　かしこまりました

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