神の妻

登場人物

大樟 ……  不問 読み方は「おこのぎ」
          佐恵子の取り調べをすることになった新人刑事
佐恵子……  女性 鴫島佐恵子(しぎじま・さえこ)五十五歳
本庄 ……  男性 本庄勉(ほんじょう・つとむ)八十歳
          音声のみの登場
那須子……  女性 本庄那須子(ほんじょう・なすこ) 五十三歳
          最後のシーンのみの登場
先輩刑事…… 不問 セリフなしでの登場

※一人称、口調、年齢設定変更可
 その際は適宜セリフを変更してください


【ここから本編】


―照明真っ暗


大樟:(N)
   某月某日
   本庄勉(ほんじょう・つとむ)・那須子(なすこ)夫妻の営む本庄歯科医院にて
   従業員である安西真帆(あんざい・まほ)が首を吊った状態で発見された
   当初は自殺だと考えられたが、捜査の過程で他殺の可能性が浮上し
   同じく本庄歯科医院の従業員であり、本庄勉の右腕として活躍した
   鴫島佐恵子(しぎじま・さえこ)が容疑者に挙げられた


―照明がつく


○取調室
―大樟、佐恵子と向かい合って座っている
―先輩刑事、大樟の後ろで調書を取っている


佐恵子:「あの人は、神なんです」
大樟:「……は?」


   間


大樟:「……あの、鴫島さん。状況をお判りでしょうか?」
佐恵子:「ええ。もちろん」
大樟:「であれば、本件と関係のない話は慎んでいただきたい。取り調べの妨げになります」
佐恵子:「関係ありますわ。あの人は神であると同時に、あの子の上司でもあったのだから」
大樟:「……失礼、訂正します。本件と直接関係のない話は慎んでいただきたい」
佐恵子:「『あの人』が誰かは気になりませんか?」
大樟:「……生憎、私は無宗教でしてね」
佐恵子:「宗教ですって?」
大樟:「推測するに『あの人』とは貴女が所属している宗教団体の教祖でしょう
    誰が何を信仰しようと知ったことではありませんが、
    少なくとも私はそういったものを信じていませんので。興味もありません」
佐恵子:「ふふっ……、あはははっ!!」
大樟:「……なにがおかしい?」
佐恵子:「あなた、もしかして新人さん?」
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