一人芝居「銀河鉄道の夜 カムパネルラは死んだ」
一人芝居「銀河鉄道の夜 カンパネルラは死んだ」
       作 結城翼 原作 宮沢賢治「銀河鉄道の夜」

☆登場人物
僕(ジョバンニ)・・

�Tカンパネルラが死んだ

    星明かりの夜、「星巡りの歌」(器楽バージョン)がかすかに聞こえる。
    中央に六角椅子。カバンをたすき掛けにした少年がうなだれている。
    時々身体が揺れているのを見ると眠っているようだ。
    突然、

ジョバンニ カンパネルラ!

    がばっと身を起こす。
    少し、ぼーっとしていて状況が把握できていない、ケンタウルス、露を降らせと  遠い声がするとハッと気づく
    反射的に立ち上がり、辺りを見回し、呆然として。椅子を見る。

ジョバンニ 天気輪の丘のベンチ・・・なんで?

    我に返ってばたばたと土を払うようなしぐさ。
    頭を振って、カバンに触って。

ジョバンニ 牛乳瓶、もらってこなくちゃ・・・。

    とぼとぼと歩き出す。天空を見て。

ジョバンニ 赤い目玉の蠍〜♪

    口ずさむジョバンニ。
    口々にケンタウルス露を降らせの声が聞こえる。
    やがて楽しそうに歩くジョバンニ
    ジョバンニ、お父さんからラッコの上着が来るよの声とともにシュッと椅子の背  後を影が通り過ぎた感じ
    たたらを踏むジョバンニ。むっとして。

ジョバンニ  なんだいザネリ!

    と言い返すが、あたりには誰もいない
    ケンタウルスの夜さんざめく人々の声。
   
ジョバンニ ザネリはどうしてぼくがなんにもしないのにあんなことを言いうのだろう。走るときはまるで鼠のようなくせに。ぼくがなんにもしないのにあんなことを言いうのはザネリがばかなからだ。ざねりなんかいつもそうだ・・

    けれど、誰も答えない。人が通る。
    ケンタウルス露を降らせの声。

ジョバンニ:ああ、もし僕が今のように、朝暗いうちから二時間も新聞を折って回しにあるいたり、学校から帰ってまで、活版所へ行って活字を拾ったりしないでも言いようなら、学校でも前のようにもっと面白くて、飛馬だって、球投げだって、誰にも負けないで一生懸命やれたんだ。それがもう今は、誰も僕とは遊ばない。僕はたった一人になってしまった。

    再びケンタウルス露を腹絵の声がかかる。
    (振り払うように)ケンタウルス、露を降らせ!と返し歩き出す、
    音楽。
    時計屋があった。

ジョバンニ 時計屋だ。

    駆け寄る。

ジョバンニ:星図盤だ。銀河が流れてる。あそこには、本当にこんなような蠍だの勇士だの蛇や魚がぎっしりいるんだろうか。ああ、僕はその中をどこまでも歩いてみたい。・・あ、砂時計だ。・・カムパネルラが言ってた奴と同じだ。青いガラス。落ちている。

    ハッとする
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