アブダクション
   アブダクション            高橋幸良
 
 登場人物
  折川千穂(チホ)・・・年配の女性50歳〜60歳くらい
  入沢真理子(マリ)・・・40代の独身女性
  ゾロフィ里奈(リナ)・・・25歳〜35歳女性
  鳥のマスク(ペストマスク)の男

 *印の台詞は、できえるだけ同時に言う

 

 マスクの男の前説
  

マスクの男 (緞帳の前にマリオネット人形を使いながら登場)ようこそお客様。
      これからお芝居が始まります。アブダクションというお芝居です。
      お客様は泣いても、笑っても、怒っても、寝てもかまいません。
      かまいませんが真面目に観ていれば、ああ、ここは笑わせたいんだなとか、
      ここは怖がるとこだなとか、だいたい判断がつきます。つくはずです。
      判断できたらどうするか…もちろん自由ですが、そこは日本人の国民性。
      ワクチン打つかどうかは自由だよ〜打つという努力義務はあるけど自由だよ〜とか、
      義務じゃないけど要請してるんだよ〜従わなくてもいいけど従ってね〜とか・・・
      見えない圧力に負けて誘導されてしまう。気を付けてくださいよ。
      このお芝居、コメディタッチだけど(圧力かけて)笑うか笑わないかは自由なんだよ〜
      
      さて、アブダクションというと通常は
      (ここで黒子が操作するUFO登場、マリオネット人形を連れ去っていく)
      と、今のようなUFOによる連れ去りが想像されますね
      ウィキペディアでアブダクションを調べてみると、
      『個別の事象を最も適切に説明しうる仮説を導出する論理的推論』とあります。
      何だかさっぱりわかりませんね〜。
      わからなくてもわかったふりして楽しんでくださいね〜  
      さて彼女らは、もうすぐ目覚めるでしょう
      (怪しいBGMと共に緞帳が開く。もしくは青明かりで舞台が見えるようになる)

 一、ここはどこ? あなたはだれ?

 出入り口の見当たらない薄暗い部屋。
 ベッドがある。ベッドにはマリが寝ている
 そのちょっと離れたところ上手側、床に布団。布団にはチホが寝ている
 下手側には寝袋。そこにはリナが寝ている
 鳥のマスクの男、どこからともなく現れる
 寝ている女たちの様子をそれぞれ、観察して去っていく
 寝袋のリナが目覚め起き上がる
 目覚め特有のボンヤリ感
 やがてはっきりとしてくる
 怪訝な様子で、あたりを見回す。暗くてよくは見えない様子
 彼女は、なぜ自分がそこにいるのかわからない
 目を慣らしながらそっと立ち上がる。
 がらんとした広めの部屋
 目につくのはベッドに寝ている知らない女と、布団に寝ている知らない女
 近づいて観察する。ベッドの女を観察、次に布団の女を観察。
 彼女はどちらも知らない
 部屋全体を観察
 何も見当たらない。窓も扉もない
 不安が募り元の寝袋に潜り込み、無理にでも眠ろうとする
 ベッドに寝ていたマリ、寝がえりで体制崩れ、目が覚める
 
マリ 何時?(いつもそうしていたのであろう時計の場所を見て)
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