第一幕 懇―私と神様―(15分)
男 健二 田舎の村の農家の子 面白いことが好き
妖 神様? 男女問わず。服装はふつう。特に行動に制限はない。
噺 落語家 初老
第二幕 坤―夕恋奇譚―(10分)
A 山田 寿(やまだ ひさし)男 声なし
B 深山 恵美(みやま えみ)女 高校生1年 Aが好き。
C 関 瞳(せき ひとみ)女
第三幕 渾―「たそがれ」または「余談」―(10分)
A田口 雛(たぐち ひな)・2年生 文芸部部長
B木山 公志郎(きやま こうしろう)・2年生 文芸部
C輿 富子(こし とみこ)・3年生? 文芸部OB
D森本 楓(もりもと かえで)・1年生 文芸部


〇暗転 ※三幕へのつなぎの言葉
(「狐」として読むなら。蛇足なので読むかは演出さん次第。)
B はぁぁぁ。できた。
A よっし。上々上々。
C お疲れ様―。
B よく1時間半でこんな長い文書き切った…。よくやった俺。ほんと頑張った。
C うんうん。
A はい、これ読んで。
B え、ちょっと休憩させてよ。
A 遅らせたのは誰。
B ヨマサセテイタダキマス。

第一幕 懇―私と神様―

舞台は古びた祠(特に舞台を用意する必要はない)。現代ではない(服装は着物が好ましい)。
明転。舞台上には中央に男が一人。上手を向いて正座している。(上手が祠)
男は一人で落語の練習をしている。(方言に疎く、慣れてない言葉遣いはつたない。ところにより意味を理解してないところも。)
妖、上手より出てくる。祠(またはその前)でしゃがみ、男の話を聞いている。

(※妖の様子によっては入ってくるまで無声演技をしても、もっと前の話から落語を始めてもよい。)
男 「(八五郎)おい!タァへんだ!野郎泣きながら饅頭食ってヤガル。饅頭怖いテェのは嘘じゃぁないかい?」(何か(落語内では障子)を開けるジェスチャー)「(3人)おい、正ちゃんヨォ!俺たちに饅頭怖いって嘘をついたな。太てぇ(フテェ)野郎だ。本当は何が怖いんだい?」「すまんすまん。今饅頭がのどにツッケェて苦しいんだ。おら、本当は『いっぱいのお茶』が怖ェンだ。」
妖 ははははは
男 だれだ?(この時点では、男は妖が見えていない。)
妖 ここだよここ。
男 (あたりを見渡す。妖と目が合う。)わぁ!
妖 くくくっ。いやー今の話面白かったよ。お前の話かい?よく回る頭じゃないか。はははは。
男 はぁ。…っておまっ、なんてとこにいるんだ。早く降りろ。罰当たりにもほどがあるぞ。
妖 んぇ、あぁ、大丈夫大丈夫。それより!お前、名は何という?その格好だ。遠くでもなかろう。あ、そこのふもとの村だろう。ヨネは元気にしているか?タツオはどうした?あんなに遊んでいたくせに最近はとんと顔を見せない。シゲ、ってあいつに限っては聞く必要はないな。毎年春になると山を禿げさせる気かってほど山菜をむしっていきやがる。もはやあいつが来ないと春の感じがしない。あぁ、そういえば、今年のコメはいい出来だっただろ?お日さんもよう出たし、雨もいい塩梅だった。んんっ、かんがえただけでよだれが出る。あ、先日の祭りだが、
男 まてまてまてまて。そんなに一気に話すな。俺が話についてけねぇよ。
 あー、何だ最初。名前だったか。俺は健二。で、そこの村からきた。弥吉んとこの次男だ。お前は?
妖 おお、すまなんだ。名は健二というのか。健二、けんじ、けんじ…うん、ケン。
ケンよ、おまえはよく頭の回るやつだなぁ。
男 (小声で)もともと3文字なんだから略す必要なくないか?
さっきの話か?あれは俺の話じゃない。落語っていうんだ。
妖 ラクゴ。
男 そう。お芝居の一つだよ。昨日から旅芸人の奴らが村に来ててな。昨日やってくれたこれが、あんまりおもしろいもんだから、つい自分でもやってみたくなったのさ。
妖 ほうほう。近世ではそんなものが流行っているのか。お前上手だったぞ。
男 本当か!…感動したんだ。一人で観客すべてを話に巻き込むあの表情が、話し方が、あの空気が!すべてが輝いてたんだ。お、おれは…!いや、何でもない。
妖 なんだ?やってみたらいいじゃないか。
男 いや、俺は農家の子だ。あの村で米を育てて、嫁を貰って、死ぬ。そういう人生だ。
妖 …わからん。それは誰かが決めたのか。
男 いや…。
妖 人はすぐ死ぬ。好きなことをやったらいいじゃないか。
男 …そう思うか?
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