悪意
悪意
  
  
  
  
椅子と人間一人で出来る芝居です。
  
シンプルですが、メッセージをぎゅっと詰め込んでいます。
  
  
   
  
  
明転 。
  
とある男が舞台の中央にいる。
  
周囲は真っ暗で、そこにだけスポットライトが照らしている。
  
男は決心して、おいてある椅子にのぼる。
  
男は、首つりを試みているようである。
  
いよいよ、となると足がすくんで、体が震えて動かない。
  
そこで、客席に向かって台詞を吐く。
  
  
   
  
  
男  おい、お前ら、止めないのかよ。いくら演劇とはいえ、目の前で人が死のうとしてるんだぞ。
なぁ、このまま俺が死んじまったら、どうするつもり?そうやって自分は立派な席に座って、のうのうと死を見過ごす気か?
  
  
一度、死ぬのを諦めて客席に説教。
  
 
男  さてはお前ら、人身事故が起きたときに限ってtwitterでつぶやくタイプの人間だろ?
  
  
舞台は電車内へ。さっきまで立っていた椅子は電車の椅子にかわる。
♪電車が走る音
男は椅子に座ってスマートフォンを操作している。
  
  
男  ガタンゴトン。ガタンゴトン。キーーーーーーッ!
  
男  ただいま、何らかの理由により急停車ボタンが押されました。
原因の解明を行っていますので、確認が取れ次第、発車致します。
お客様にはお忙しい中、大変ご迷惑おかけいたしております。
今しばらくお待ちください。
  
男  「おい、電車とまったよ〜。最悪。」
「タイミング悪すぎ」
「人身事故乙。」
「え、これ人身事故なの?初めてリアルに遭遇したよ〜」
「継東線は無能。人身事故多過ぎ」
  
  
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