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ON AIR

　　　『ON　AIR』

古澤　春一

登場人物

僕・・・主人公。高校２年生。放送部員。

声のみ
工藤・・・放送部の先輩。
CMの声・・・生徒会（女子）、保健の女性教諭、生活指導の男性教諭。

登場しない人物

牛島・・・放送部員。僕と同期。ラジオドラマ担当。
浜村・・・放送部員。僕と同期。音楽担当。
広瀬・・・放送部員。僕の後輩。構成担当。
野田・・・放送部員。僕の後輩。機材担当。

全一幕

・舞台は高校の放送室。卒業式前週の土曜日。午後。
・時代設定は二〇〇八年である。この年以降、年間ヒットチャートの一位にはAKBと嵐しか現れなくなる。
・舞台上には長机といくつかの椅子。机の上にはマイクとラジカセ及びテープレコーダーと台本。簡単な放送ブースになっている。最新の機器ではなく、年代ものといった感じ。
・後ろには放送室特有の分厚いガラス窓があり、廊下が見えている。
・窓の上には「ON　AIR」と書かれた赤いランプが設置されている。
・窓の横（上手側）には棚があり、テープやビデオ、CDや台本が収められている。
・基本的にはブース以外には何もなく、照明も周りには当たらない。

　　―――　舞台上のブースに薄暗く照明が当たっている。
　　　　　　客入れ中は蝉の声が流れている。

　　―――　暗転。
　　　　　　蝉の声　F・O

　　―――　S・E　時報
　　　　　　♪空はまるで/MONKEY MAJIK

　　―――　サビ終わりとともに、音量下がる。

僕（声）西高生のみなさん、こんにちは。始まりました、西高ラジオの時間です。本日はわたくし放送部２年の藤井マサルが、ここ放送室から生放送でお送りいたします。尚、本日は文化祭ということで放送時間を三十分拡大して、一時間の特別版でお送りいたします。まず一曲目は、バックで流れております、MONKEY MAJIK「空はまるで」。続きをお聞き下さい。

　―――　音量上がる。
　　　　　途中で切れてアウトロになりF・O

僕（声）この番組は西尾高校放送部がお送りいたします。

　―――　明転

　　―――　僕は慌ただしく放送前の準備をしている。
　　　　　放送室には他にも部員がいるようである。

僕　え、どういうこと？そんなこと急に言われたって、無理に決まってんじゃん。だってもう台本出来てんだよ。もっと早く言えよ。思いついちゃったって言われてもさ。え？で、ちなみにどんな企画なの？・・・は？エロ動画を流して声だけでセクシー女優を当てる？馬鹿か、おまえ。文化祭だぞ。そんなもん流したら活動禁止になるわ。いや、どさくさに紛れないから。もういいよ。早くハガキの方やれよ。まだ、ラジオネーム全員分考えてないんだろ。だって、しょうがねえじゃん、誰もハガキなんか送ってくるわけないんだから。もう。毎年そうなんだって。なるべく面白い名前考えろよ。女の子っぽいやつと意味不明なやつも入れて。被んないようにね。そう、ハガキの内容と合うように。ああ、間違えて本名読んじゃうやつは最後にしといて。オチにするから。うん、それは割と堅めの名前で。うん、わかった。わかったから、やって。もう時間無いから。お願い。お願いしますよ。
　もう、大丈夫かな。あ、そうだ曲どうなってんだっけ・・・あれ、浜村は？浜村！ねえ、野田、浜村どこ行ったか知らない？え？出てった？いつ？さっき？？もう、何やってんだよ、あいつ。まだCD全部揃えてないじゃん。えー、じゃあ、牛島は？編集終わってんの？さっきまだ、なんかいじってたよね？完成してないとか勘弁してよ。

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