野に開く花のように
野に開く花のように
                                   作:海部守

時:西洋中世

所:田舎の村

登場人物
アンゼリカ :愛称はアン。
ハロルド  :宣教師ランプの生徒。愛称はハリー?
メアリ   :アンを妹のように想う村娘。都会にあこがれていたが、ハロルドに一目ぼ
      れをし、アンが邪魔に思えてくる。
アニス   :アンゼリカのおばあさん。薬草の調合が得意で、古い教えを大切にしてお
      り、村に無くてはならない人物だったが、そのために布教活動の障害とみな
      され魔女に仕立て上げられてしまう。
村人A   :ベン。
村人B   :名前はゴネット。アニスを頼りにしてきたが、わずかなお金の為に彼女に
      「まじないの言葉」を言わせ、魔女に仕立て上げた。
村人C   :おばさん。
宣教師ランプ:村へ布教活動にやってきた。
審問官   :

   ※特定の宗教を指しているものではありません。フィクションです。
   シンボルは○(わっか)がいいかな。

■第一場■
   長閑な田舎の村のはずれにある花畑。
   アンゼリカとメアリが仲良く花を摘みながら歌を歌っている。

アン   ♪そよ風吹いて 季節は春 小鳥はどうして歌うのかしら
メアリ   それは探し物があるからよ。
アン    探し物って何かしら?
メアリ  ♪それはきっときっとね 冬の寒さを乗り越えるための愛
アン    だって、まだ春よ。冬にはまだまだ時間があるわ。少し気が早いんじゃない?
メアリ   そんなこと無いわ。いつの間にか夏が来て、秋が来て、そうしてあっという
     間に冬になるのだもの。ぼけっとしてたら、小鳥は一人で凍えて死んでしまう
     わ。
アン    メアリは憧れが強すぎるのよ。
メアリ   野草に恋をしているアンよりマシだわ。
アン    別に草に恋なんてしないわ。おばあちゃんのお手伝いをしているだけ。
メアリ   あーあ、早く都会に行きたいなぁ。
アン    町で召使になるのがそんなに嬉しいの?
メアリ   あのねぇ。ちょっと周りを見て御覧なさいよ。この見渡す限りの何も無いド
     田舎を。ここには夢も希望も無いわ。そう恋だってないわ! いるのは畑仕事
     に疲れてくたびれてお酒によって顔を真っ赤にした恋とは無縁の農夫ばっかり。
     やんなっちゃうわ! でも、町は違うわ。こことは全然違うわ。
アン    どこがどう違うのよ。
メアリ   都会には、この国の各地から勉強をするために集められた学生達の寄宿舎が
     あるのよ。町に行けば彼らと出会い恋に落ちれるのよ。
アン    召使じゃ無理じゃない?
メアリ   無理じゃない。私を雇った旦那様は、それはもう私に辛く当るの。
アン    何の話?
メアリ   いいから黙って聴きなさい。私はもうこんな所にいるのが嫌になって、何度
     も出て行こうと思うの。でもね、村で待ってる病気のお母さんを思うと、逃げ
     て帰ることなんて出来ないって。
アン    え、おばさん病気だったの? 昨日、すごい元気そうにしてたけど。
メアリ   先の話よ。お母さんは私がそんな苦労をしてると知って、体調を崩すの。
アン    そんなに繊細そうには見えないけど。
メアリ   おだまり。続きが聞きたくないの?
アン    聞きたくなくても続けるんでしょう?
1/24

面白いと思ったら、続きは全文ダウンロードで!
御利用機種 Windows Macintosh E-mail
E-mail送付希望の方は、アドレス御記入ください。

ホーム