あらすじ
南高2年の藤田あおいは、8月のその日、祖父の墓参りに訪れていた。
ひしゃくで井戸水をすくって墓石にかけ、たわしで磨く。花を手向けて、最後にお線香をたてて手を合わす。
「おじいちゃん、また来るね」
その帰り。ふと隣の墓石に目が留まる。
恐らく十数年は放置されているであろう、可哀想な状態の墓石。
居た堪れなくなったあおいは、ついでにと墓石を掃除する。
制服のスカートをパンパンとはたき、帰ろうとしたその時、
「うんまっ!」「いやあ、お線香ってこんなに美味しかったっけなあ」
急に墓石の奥から中年おやじが出現。あろうことか、先ほどあおいがたてたばかりのお線香をモグモグ。
溜まらずに悲鳴を上げるあおい。死を覚悟するあおい。
変態出現。と思いきや、
「お願いがあるんや、聞いてもらえへんやろうか」
「実は僕には小さい娘がおったはずなんやけど、何処におるか知らへんか?」
原というその男は、まさかの記憶を失った中年オバケだった。
「あれ? 藤田じゃん。こんなところで何やってんの?」
そこへ、祖母の墓参りを終えた、同級生の鈴木も現れ、
「これ以上の延長手続きはもう出来ません。そろそろ旅の支度を始めてもらいませんと、
こちらも諸手続き等々あって忙しいんですわ」
今度は全身黒スーツの男性職員と女性職員が現れ――
聞き込み調査や口コミ情報を元に原の娘探しの旅を始めるも、
「いやいやいや何言ってんだよ、おっさん! ここまで来たんだろ? 諦めんなよ!」
次々と起きる問題。そして度々立ちはだかる謎の男性職員と女性職員。
敵なのか、味方なのか。彼らの真の目的とは?
「そ、そんな、だって」
最後の最後に、言葉を失う原。3人は無事に原の娘を見つけ出せるのか。
その他
■ 作品コンセプト ■
どうもこんにちは。作者の紺野です。
約3年ぶりに新作を書き上げました。
今回は「家族愛」「家族の絆」をテーマにした作品となっています。
突然ですが、皆様はお墓参りに行ったことはありますか?
お恥ずかしながら私は幼い頃からお墓参りに行くという習慣がなく、、
そのままこうして大きくなってしまいました。
今回はそんな自分自身への戒め、というわけではないですが、
長年放置されていたお墓。そしてそこで成仏できずにいるオバケが題材となっています。
お墓にいる側の視点から考えてみたら、それは寂しいことだろうな、と。
そりゃあ久々にお線香をたててもらったら美味しいだろうな、と思います。
今回もし、演じなくても構いません。ふと脚本が気になって最後まで読んでくださった方。
最近、ちゃんとお墓参りに行ってますか? ちゃんと手を合わせていますか?
自分の胸に手を当てて考えてみてください。
この作品を読んで、あるいは演じることで色々思ったり、考えてみたり、行動に移してみたりと
少しでもあなたの「行動のきっかけ」になれたら嬉しいです。
ちなみに私にとってこの作品は、「前へ進むため」の作品です。
そんな私の新作、どうか最後まで読んで頂けると嬉しいです。どうぞ宜しくお願い致します。
■ オリジナル脚本PDFデータあります ■
はりこのトラの穴のホームページ上からも脚本をダウンロードできますが、
テキスト形式ファイルになるため、印刷の際は何かと不便かと思います。
ご希望の方は、私宛てにメールを下されば無償でオリジナル脚本PDFファイルをお送りします。
上演許可をとるついでに「PDFデータください」と一筆いただければ、
上演許可の返信メールにオリジナル脚本PDFファイルをお付けしてお送りさせていただきます。
お気軽にお問い合わせください。
※注意※携帯メールにはPDFデータはお送りできません。パソコンメールをご提示ください