ポケットの中の私
初演日:2022/11
作者:川村武郎
作者へ連絡(上演許可依頼など)
初演会場
THEATRE E9 KYOTO
初演劇団
かんから館
キャスト総数
5(男:2 女:3 その他:-)
上演時間
120分
あらすじ
「とある家族」のお話。
家族って何だろう? 孤独って何だろう?
人と人は繋がり合えるのだろうか?
そんなことをごちゃごちゃ話してます。
関西弁の会話劇です。

舞台上に、ダイニングテーブルとイス、そしてモニターテレビ2台。
シンプルなセッティングで上演しました。
著作権使用料
はりこのトラの穴の規定に準ずる
追記
(上演パンフレット より)
大昔に「家族ゲーム」という映画がありました。森田芳光監督、松田優作主演の映画です。
実は私は見てないのですが、テーブルに横並びに座ってる家族のスチール写真が印象的で、バラバラな家族というか、家族の虚構性というか、インチキ臭さを描いている映画らしくて、こういうテーマは結構古典的だったりもします。
今回の芝居「ポケットの中の私」の「私」は、実は、私(作者)の妹を一応モデルとしています。この妹が、北海道で牧場をやっておりまして、中高年になってから彼女と私は時々数時間もの長電話をして、うちの家庭や家族を論評したりしております。(まさに論評という感じで、そういう変な兄妹なのです)その中で、うちの家庭環境はかなり劣悪であったということを確認し合い、その主犯たる父親や母親のパーソナリティーの問題や子育て能力の欠如について、これまた評論家よろしく論じ合ったりしております。
そこで、そういうディープな「うちの話」を一度芝居にしてみようかな? と、結構前から思ってたりもしたのですが、でも、かつての「私小説」みたいな「私戯曲」を書いても、へたすると単なる自己満足になってしまって、お客さんにはあんまりおもしろくないよなあ‥‥とも思っていました。
それがですね、ちょっと考えが変わって来ました。
というのは、私は、仕事の関係で、10代から20代の人の家庭状況を見たり聞いたり話したりする機会が時々あるのですが、その経験の中で「壊れてるのはうちの家だけじゃないな」ということを確信するようになったのです。ご存知と思いますが、最近、ネグレクトとかDVとか不登校とか子供の貧困とかがよく話題になりますが、そういう問題を抱えている家庭は、決して少なくない。少なくないどころか、かなり多くて、事件とかになって表面化してるのはまさに氷山の一角にすぎない、ということを痛感しております。
例えば、ちょっとネタバレになるのですが、今回、少しだけ刺激の強いDVっぽいシーンを書きました。それで、そのシーンの練習をすると、役者のほぼ全員が「このシーン、つらい」と言うのです。ちょっと心当たりがある人もいるかな? ぐらいには思っていたのですが、何とほぼ全員が心当たりのある人々だったのです。これには少し驚きました。
つまり、一見平穏に過ごしているらしく見えるあまたの「家庭」や「家族」たちが、その実、水面下では足をバタバタさせていると申しましょうか、危ういバランスの上にかろうじて成立していると申しましょうか? ‥‥いや、ほんとに成立しているのかな? 
このような状況をどうとらえたらいいのでしょう? これには「現代的な問題」と「本質的な問題」の二面性があるように私は思っています。「現代的な問題」とは、現代の分断バラバラな社会状況が家庭にも反映している‥‥つまり、何とかくっついていたはずの家族と家族の結びつきが粘着力を失いつつある、という見方です。 もう1つの「本質的な問題」とは、「そもそも家庭なんてほんとに成立するの? しているの? していたの?」という、ちょっとかなりな危険思想です。机上の空論が大好きな私は、この手の危険思想が大好物でして、ほんと困ったものです。

話は変わりますが、今回の芝居はほぼ「素舞台(スブタイ)」です。ご覧の通り、舞台上に装置らしい装置はありません。ここ数年、かなり凝ったセットを使っていたので驚かれた方もいらっしゃると思います。
この作品の構想の段階から、とにかく無機質な空間にしたいという思いがありました。それでも当初は「無機質な感じのセット」を考えていたのですが、この劇場の「ブラックボックス」な空間をイメージするうちに、「何にもない」のが一番しっくり来るな、と思ったのです。
その代わり、モニターを2台配置しました。念のために申し上げると、ここから水やハトが出たりはしません。普通に映像が映ります。
映像を使った演出というのは80年代~90年代の小劇場ブームの時は大流行でした。演劇でもコンサートでも、何十台ものテレビを積み上げたり、大型のプロジェクターを使ったりして、派手な演出を競っていたものです。それなのに、最近はそういう演出はめったに見ませんね。どうしてなのかな? 当時はブラウン管だったけど、今は軽い大画面液晶があるし、パソコンを使えばアマチュアでも相当凝った映像が簡単に作れるようになったのに‥‥。不思議ですね。
実は、かんから館では映像を使った演出は今回が初めてです。それで、試行錯誤で映像を作って行く中で、「これは思ってた以上に面白いぞ」と手応えと可能性を感じております。これは、ちょっとクセになるかもしれません。それ故、今後の舞台でも今日のモニターたちが再登場することがあるかもしれませんが、「またかよ」と言わず、温かい目で見守って戴けるなら幸甚に存じます。
その他
上演ビデオ

https://www.youtube.com/watch?v=Ms871QucN30
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(2024/5/31 12:41:14現在)

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