あらすじ
都内の片隅にある小さな洋食店「朝陽亭」。そこでウエイトレスとして働く唯（ゆい）は、店の仲間や常連客と共にささやかではあるが幸せな毎日を過ごしていた。しかしその幸福な日常は、ある瞬間から大きく形を変える。借金を背負った朝陽亭は奪われ、唯は横浜で開かれる船上パーティーで料理を振る舞う事に。店を取り戻す条件は、ただ1つ。世界最高と称される美食家の舌を満足させる事。
日本で最も予約の取れない超人気最高級フレンチレストラン「Le Carême（ル・カレーム）」。フレンチシェフの金森は、20代の若さでミシュランの星を持つこの店の料理長を務めていた。ありとあらゆる賞賛や名声をその手にしていた彼には、誰にも言えない大きな秘密があった。
エリート外交官・磯川は困っていた。原子力エネルギーの利権問題を巡るフランスとの外交交渉は失敗に終わり、既に後が無かった。フランス側のトップである桐山アンナが最後の外交交渉として提示した場は横浜の船上パーティー。日本とフランス、両国の命運は、1つの料理に託される事に。
棄ててしまったモノ。失ってしまったモノ。これは、それぞれが忘れ物を取り戻し、料理で人の胸に焔を灯す物語。
